COMESAインクルーシブファイナンス研修
【活動報告II :ケニア国内のアントレプレナーシップの高まりについて】
2016年2月24日~3月1日にケニアのナイロビでCOMESAファイナンシャルインクルージョン研修を実施してきました。
研修の目的は19ヵ国から中央銀行とマイクロファイナンス機関の代表が集まりより良い法規制監督制度の在り方について議論するというものでした。研修で各国代表の意見を聞いて、またケニアのファイナンシャルインクルージョンの現状を見て印象的だったことを3回に分けてスタッフより紹介しています。
今回はその第2弾です。
こんにちは、インターンの矢部です。2月24日~3月1日にアライアンスフォーラム財団・アフリカ開発銀行・東南部アフリカ市場共同体(COMESA)共催で開催されたCOMESAインクルーシブファイナンス研修の際にケニアの首都ナイロビを訪れました。今回はそこで見た、ケニア国内のアントレプレナーシップの高まりについて綴りたいと思います。
早速脱線しますが、グローバルアントレプレナーシップモニターという調査をご存知でしょうか。これは、アメリカのバブソン大学やイギリスのロンドンビジネススクールなどの研究者が行っている、世界各国の起業活動の把握、起業活動と国家経済の関係性の把握、などを目指したプロジェクトです。
参照サイト(PDFが開きます):一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター 「起業家精神に関する調査」
上記の研究から推論されることではありますが、起業関連の指標が途上国全般において先進国よりも高くなるのは、産業が発達していない、雇用者がいない、自分で自分を雇用する、あるいは同義ですが雇用を自ら作るという論理的な流れがあるからと言えます。
では、実際アフリカのいわゆる途上国、ケニアのスタートアップ状況やアントレプレナーシップの現場はどうなのでしょうか。
今回の研修中にナイロビにあるiHubという、いわゆるIT起業家のためのコーワーキングスペース兼、インキュベーション施設を訪問する機会がありました。 創設者のエリック・ハースマンのインタビューはこちらです。
この施設はケニアの有望な若手起業家やスタートアップ企業のハブとなるような施設を目指して設立されたものです。訪問時、フロアには約30名の起業家がPCを片手にそれぞれの作業に淡々と取り組んでいました。一瞬ここは渋谷か、あるいはシリコンバレーか!!と思うような光景が広がります。他のPCと比較して高価格なMacを使っている人がいます。
同様なインキュベーションセンターはナイロビ市内だけでも複数存在するらしく、スタートアップの高まりを感じました。というのも、そのはず、今ケニアだけではなくナイジェリアやコンゴ、私の好きなルワンダと、様々な国が、アフリカのシリコンバレーを自国に創ることを目指しています。ここケニアでいえば、首都ナイロビから南に65キロに位置するコンザという地域に『コンザテクノシティ』(現地ではシリコンサバンナとも呼ばれる)を政府が建設しようとしています。
※KonzaTechnology City Kenya の構想図
参照サイト: アフリカ情報局 『ケニアで2019年に完成予定、テックシティの建設始まる。』
話を戻します。iHubを訪問した際に最初に話を聞いたのはエスター(Ms.Ester Mwangi 写真 左)です。彼女は東アフリカ最大のスラムであるキベラスラムで女性向け生理用品の販売を行うEsVendoという企業をプログラマーのケビン(写真 右)と共に立ち上げています。
日本人企業からの参加者とEsVendoのビジネスついて、その仕組みやインパクトなどについて盛んな議論が交わされていました。大学を卒業後、再生エネルギー企業勤務を経て、学生時代からの夢だった起業に踏み切ったというエスター。スラムで暮らす少女達が教育を受けるハンディを少しでも減らしたいという前向きな決心が印象的でした。
研修全体ではもう一度このiHubに訪問し、複数名の起業家のピッチや、日本人参加者様との議論がなされました。残念ながら私は他の所用で同行しておりませんでしたので、ここでは割愛させていただきますが、ケニアに訪問の際はぜひ訪れてみるといいかもしれません。アフリカの玄関口、ケニアで起業熱を感じることができるはずです。
私の報告は以上になります。ケニアでのCOMESAインクルーシブファイナンス研修について詳細は6月12日の報告会でお話しさせて頂きます。(詳細・お申込はこちらから)
次回はフェローの浅井より、インクルーシブファイナンスの法規監督について活動報告が続きます。