ケネス・カウンダ氏を偲んで
2021年06月17日、アフリカ南部ザンビア共和国において、同国初代大統領であり、当財団と深い関わりがありましたケネス・カウンダ氏(Kenneth Kaunda)が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表明致します。
同氏は、1964年英国統治下のザンビア(当時、北ローデシア)を独立に導きました。また、英国植民地下の周辺国(南アフリカ共和国、ジンバブエ共和国、ナミビア共和国等)の独立運動を支援しました。同氏は独立後、主力輸出品である銅鉱石の利益が海外資本に吸い上げられる等、ザンビアが搾取されていた状況から、企業を国有化し利益がザンビア国内に還元できるようにしました。その結果、現在のザンビア国立大学他、教育機関、病院・医療施設等が生まれました。しかし、1970年代頃には、こうした政策が欧米諸国から社会主義だと批判され、経済制裁を受けた結果、非常に貧しい状況に陥り、政権交代が為されました。
同氏は当財団のアフリカ企業使節団や学生使節団とも会見して下さり、「私が大統領の時に公益資本主義を知っていれば、社会主義と間違われなくてもよかった。もっと早くに知りたかった。健康で教育を受けた豊かな中間層は社会主義でも英米型の株主資本主義でも実現は無理だ。公益資本主義こそが解決する」ということ、「英国の植民地になり、諸部族の言語が英語に置き換えられたことが、一番の問題であった。言葉は文化である。自国語を失い英語(征服者の言葉)に置き換えられた民族は、誇りを失い属国となる」と常々言っておられました。
当財団は、同氏の理解と協力により、2008年頃から当時5歳未満の子どもの約4割が栄養不良とされる課題の持続的な解決を図るべく、アフリカ原産高蛋白質の食用藻(スピルリナ)による事業を開始しました。また、同国首都ルサカ市に本部を持つ東南部アフリカ市場共同体(COMESA)との連携による、中央銀行・マイクロファイナンス機関の実務者向け金融制度改革研修・政策提言(2014年~2016年)を実施して参りました。
当財団は、ケネス・カウンダ氏の財団活動への多大なる貢献に深く感謝し、故人の冥福をお祈り申し上げると共に、今後も同氏の遺志を引き継ぎ、活動して参る所存であります。
2009年ザンビア共和国ルサカ市にて (左:原丈人代表理事、右:ケネス・カウンダ氏)
2021年06月
一般財団法人アライアンス・フォーラム財団