はじめまして、アライアンス・フォーラム財団 栄養士の太田旭です。
私は現在、ザンビア共和国の南部州Gwembe郡Munyumbwe地区に出張しています。そこでの様子を投稿します。
Munyumbweは、首都のLusakaから南西方面へ4時間程度の場所にある農村地域で、何もないいいところです。
※滞在先からコミュニティへ向かう途中の景色
こちらでは現地語の1つであるTonga語が使われているため、英語とTonga語のどちらも話せる現地語通訳者と一緒に調査を実施しております。
※ 右:AFF太田、真ん中女性:通訳者Mableさん、左:インタビューを受けるお母さん
今回こちらへ3週間の予定で、①キーフーズ調査と呼んでいる地域住民の食事調査と、②地域クリニックのボランティアスタッフを対象とした栄養研修を実施しに来ました。栄養研修の様子は次回のザンビア日記でお伝えできればと思います。
①キーフーズ調査の「キーフーズ」とは、地域で入手しやすく手の届き易い価格や条件の食材で構成され、その地域の食を支えている言わば“鍵=Key”となる料理のことと定義しています。いくら理想的な健康レシピを作ろうとしても、現地にある調理器具・食材・環境で料理ができなければ、せっかくのレシピも活用できません。そのためアライアンス・フォーラム財団はコミュニティでの食のアクセス状況や食事摂取状況などを把握するべく調査を実施することにしたのです。
今回の調査で得られた情報は、日本へ持ち帰り集計・分析をします。来年実施を計画している離乳食や妊産婦食調理実習の際、提案するレシピの考案に役立てようというのが目的です。たとえば料理の作業工程を工夫したり、普段食べている料理の食べ合わせを工夫することで栄養価を高められたり、時短料理に繋がる提案ができればと考えています。
現地コミュニティを訪問した際も、村の人々から「野菜や食材があっても料理方法がわからず料理バラエティが広がらない。なので調理実習をして欲しい。」というコメントを頂きました。その要望に応えるべく、今回のキーフーズ調査にも自然と力が入ります。
※ 乾燥とうもろこしとかぼちゃの煮込み(現地語でチデョボ)
コミュニティは全て徒歩で移動します。飲食店などは地域にないため、私たちのお昼ご飯は現地の誰かにお願いをして作ってもらっています。調査日初日は乾燥とうもろこしとかぼちゃの煮込みを作ってくれました。現地語でチデョボと言います。 一緒にいただいた飲料水である井戸水は、私の生まれ故郷の宮城県にある実家の井戸水と同じくらい美味しくて感動しました。
※Mariaおかあさんと調理中の様子
仕事が終わると、毎日滞在先の炊事場で一緒になるMariaおかあさんに料理を教えてもらっています。現地の食材と調理器具で私も料理の特訓中です。こちらでは日が暮れる前に滞在先へ戻り、炭火で沸かしたお湯に水を足しながら温度を調整して水浴びをします。その後、夕日が沈むころに夕飯を作り始めます。日本だと蛇口をひねったり、ガスコンロのノブを回せばシャワーも料理も簡単に始められるけれど、やはりこちらではそれなりに時間を要します。
この暮らしのペースに慣れることができるか最初は不安もあったけれど、今では炭が燃えるパチパチという音を聴きながらお湯が沸くまでおしゃべりをしたり、停電の夜に星空の中から南十字星を探す時間は、私にとってとてもリラックスできるかけがえのない時間になりました。
キーフーズ調査を実施していて改めて気づかされたことの1つに、保存食の重要性があります。ザンビアには雨季と乾季があり、雨季には作物の収穫量がぐっと下がってしまい、月単位で収穫が全くない時期があるそうです。そこで活躍するのは乾燥させた保存食。乾季に干しておいた野菜を雨季に大事に食べるそうです。
※Mariaおかあさん、手にあるのは乾燥きゅうり
上写真は乾燥きゅうりを手にするMariaさん。コミュニティにて食されている乾燥きゅうりですが、私はまだ料理をして食べたことがないと話したところ、地域の人が試食用にとおすそ分けしてくれました。そこで、Mariaさんにお願いをして休日のお昼に料理方法を教えてもらう約束をしていたのです。
ここで、Mariaさんに教えてもらったレシピを紹介したいと思います。
材料:
乾燥きゅうり5g
大トマト1個
食物油100ml
塩大さじ1
乾燥小魚適量、
ネギの葉部分適量
水300ml
1、 乾燥きゅうりを適当な大きさにちぎり、軽く洗ってから水に浸す。
※ この時、水に浸す時間はわずか1分程度です。
2、 熱した鍋に油を注ぎ、そこに塩と適当な大きさに切ったトマトを入れる。
3、 水で戻した乾燥きゅうりを鍋に入れ、油に浸ける。その上から水を注ぎいれる。
※ 油が飛び散るので十分に注意します。火力が強いと発火の恐れがあります。
4、 20分程度中~強火で煮る。
5、 水で洗った乾燥小魚(カペンタと言われる乾燥した川魚)を入れてまた20分程度煮る。
6、 完成する直前に刻んだネギの葉部分を鍋に入れ、火が通ったところで完成。
食感はジューシーな揚げ茄子の様で、子魚とトマトの味のハーモニーが絶妙でした。とても美味しかったです。
※乾燥きゅうりとカペンタの料理
帰国の際にはAFFの日本スタッフ達にザンビア料理を振る舞う約束をしております。他にもザンビア料理のレパートリーを増やしたいです!!
※Mariaお母さんとAFF太田、料理完成後
ここMunyumbwe地区に来て1週間が経ちました。今回は残り2週間の滞在期間となりますが、残りの期間も優しさ溢れるこの場所で元気に過ごしたいと思います。
次回はMunyumbweでのクリニックボランティア達との研修会の様子をレポートしますね。
以上、ザンビア共和国南部州Gwembe郡Munyumbwe地区より太田旭でした。