こんにちは、ザンビア駐在の森長です。
前の投稿からずいぶん時間が経ってしまいました。ザンビアでは、10月に入り真夏の陽気を見せています。
今月上旬はジャカランダ(英語名:Jacaranda)が紫の花を咲き誇っていましたがそれも終わり、現在下旬は鳳凰木(ホウオウボク、英語名:Phoenix tree)(別名火炎木、カエンボク、英語名:Flame treeとも言うらしいです)が真っ赤な花をきれいに咲かせています。
※ジャカランダ
※鳳凰木/火炎木
そんな中、先日10月24日はザンビアの51回目独立記念日でした。ザンビアは51歳になりました。
Congratulations!
そんなお祝いムードも一変。
ザンビアは今年に入り、電気供給、経済や政治の面でちょっとした、いや結構なピンチを迎えています。
電気供給
ザンビアの電力は90%ほどほぼ水力発電により賄われています。
なので、ザンビアにとって水というのは「水資源」ということと同時に「電力」としても大事な意味を持っています。
しかし、昨シーズンの雨期は降雨量が通年よりも少なかったため、ダムでできる発電量が少なくなってしまいました。その結果、今年の6月下旬くらいから、計画停電と謳って首都ルサカ市内をはじめ全国各地で1日大体8時間程度の停電がほぼ毎日あります。
計画停電なので一応何時から何時までが停電という知らせがありますが、大体それに沿っていない停電なので計画性はいまいちです。。。
※このダムは、世界一大きい人口湖であるカリバ湖にある水力発電ダムです、下の写真を見たことがある方もいるでしょうか。
出所:postzambia.com
経済面
ここでの最近の大きな問題は、銅価格と為替レートの問題です。
まずは銅価格について。銅価格がここ最近、世界的に下落しています。下図を見ると、2011年1月ごろピークだった約10,000USD/tの銅価格は徐々に下落し、最近は過去15年間で最低価格の約5000USD/tを付けています。
(参照:http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcopp.html)
それがどうザンビアと関係するかというと、ザンビアは世界有数の銅を産出する国で、銅の輸出がザンビア全体の輸出で約70-80%を占めており、ザンビア経済の歳入は銅鉱山開発に大きく依存しています。いわゆるモノカルチャー経済です。それが悪くなっているので、ザンビア経済は大きな打撃を受けています。
次に為替レートの暴落です。
ザンビアの現地通貨は、クワチャ(ZKW)といいます。為替レートは主にアメリカドルと比較され、kw○○/USDと表現されます。
為替レートは、私が去年2014年4月に赴任したときは、約kw6/USDでした。しかし、下のグラフのように今年の8月後半から急激にクワチャ安になり、現在はなんと約kw12/USDです。倍以上の変化です。
(参照:http://fx-rate.net/USD/ZMK/)
*右側のクワチャの単位が昔のままですが、現在はゼロを3つ取った3桁少ない値が正しい値です。
これは、単純にザンビアへの輸入品は以前の価格の2倍以上になるということを意味します。
銅産業しかなく、製造業や農業など他の産業が大きく発展していないザンビア社会では流通している物品の多くが輸入品のため、これはザンビア国民にとって大きな打撃になっています。
パンやジュースなどの食品から始まりセメント代やいろいろな物の値段も倍近くになっています。。。
原因については、上の銅価格の下落や中国経済の失速などといろいろ言われています。
なぜ中国経済が関係するかというと中国は、ザンビアの輸出国第2位(23%)だからです。(さらに銅で言うと、精製された銅はザンビアの全輸出品目の55%でそのうち15%が中国に、未精製の原材料としての銅はザンビア輸出の15%でそのうちなんと95%が中国に輸出されています)
(参照:http://atlas.media.mit.edu/en/visualize/tree_map/hs92/export/zmb/show/7402/2013/)
政治面
こんな将来の見えない情勢が不安定なザンビアでは来年2016年に大統領選挙が控えており、連日新聞・ニュースではこのままではザンビアがだめになる、与党は変わるべきだなどの声も上がっています。現与党はこの状況の中、どうするのか。
ピンチはチャンスか!?
こんな状況下で、今後これから来年にかけてのザンビアの行方に注目です。
以上、ザンビアの近況でした。