私はバングラデシュ人が好きである。
※久々の外出で味わった、私がこよなく愛するバングラデシュのチャー(紅茶)
先日の昼食は、バングラデシュ歳入庁(National Board of Revenue、NBR)の近くのローカル食堂で、辛めの牛肉ケバブとナンを食した。その時にテーブルについてくれた男の子の笑顔がまた輝いていて。男性の民族衣装であるパンジャビを着た日本人が珍しいのか、昼過ぎの混雑した店内にあって、私とシニア・マネジャーのナビさんのことをよく気にかけて動いてくれていた。
「ボヨシュ コト?(何歳ですか)」
と彼に尋ねると、肩に汚れたタオルをかけた別の男性スタッフが、こいつは15歳くらいだと答えた。バングラデシュでは自分の年齢もちゃんと知らない人も多いようだ。15歳。児童労働の定義では、15歳は微妙な年齢だ。15歳未満(原則)が義務教育を受けずに働くことは、国際条約や法律で禁止されている。
今月10月3日(土)、バングラデシュ北西部ロングプール県で、日本人射殺事件が起きた。親日国で有名なバングラデシュの、それも安全とされてきた地域で日本人が標的にされたというメディア報道の影響は大きく、一般旅行者はもちろんのこと、多くの日本企業がバングラデシュ訪問を見合わせ、JICA(国際協力機構)の専門家や調査団、青年海外協力隊、そして私たちを含むNGO職員ほか、現地の日本人の行動が制限されている状態である。
翻って、冒頭の15歳と思われる男の子の笑顔。普段はチップもあまりあげ慣れていない私も、彼のはちきれんばかりの笑顔の前には、黙ってお釣りを渡してあげたくなった。日本人射殺事件の捜査の進展を見守る必要があるなか、現地に住む日本人として、あとどれくらい外出を控えなくてはいけない日々が続くのかわからない。でもやはり、私は、人懐っこいバングラデシュ人が好きである。