はじめまして。こんにちは。アライアンスフォーラム財団にて、昨年9月よりインターンをしています金森と申します。今回は、2月の上旬に同行させていただいたバングラデシュ出張の様子をご報告したいと思います。
首都ダッカから飛行機で30分、マイクロバスに乗り換え3時間ほど走ったところに今回の目的地があります。私たちが訪れたバゲルハットという場所は、自然が豊かな農村地域という印象です。この時期の日本では考えられないような温暖な気候のもと、沼地や水田が広がっています。
写真1:オープニングセレモニーとCNVたち
プロジェクト実施地へ到着すると、まずCommunity Nutrition Volunteer(=地域栄養啓蒙員、以下「CNV」)達が集うCommunity House(=地域保健の家、以下「CH」)のオープニングセレモニーに参加しました。
私は現在大学で管理栄養士課程に所属する学生であり、CNVと同じように栄養について学んだことを活かして人の役に立ちたいと願う学習者でもあります。バングラデシュに渡航する前から「CNVはどんな人たちだろうか」という気持ちがあり、この機会に直接会うことを楽しみにしていました。
CHでは30人ほどのCNVが出迎えてくれました。CNVに向けての自己紹介では、大学で栄養の勉強をしていることやなぜ栄養について勉強しようと思ったのかなどを話しました。私は彼女たちが話すベンガル語は分かりませんが、反応や雰囲気から応援してもらっているような空気を感じました。この出来事に心が温まり、知識も経験も浅い学生ですがこれからも引き続き精進していこうと気持ちが引き締まりました。
写真2:KFSの様子
今回は秋に実施したキーフーズ調査(以下「KFS」)*1のフィードバックを行うとともに、雨季に入る前のバゲルハットで第2回目のKFSを実施しました。担当した現地スタッフの2人は、プロジェクトへのモチベーションが高く真摯に取り組んでいる印象でした。既に一度KFSを行った経験を持っているため、調査に協力してくださるお母さんへのあいさつや調査目的の説明も丁寧で、時には私へのベンガル語⇔英語の通訳を、時には冗談を飛ばして人々を笑わせるなど非常に幅広く業務をこなしていました。
———————————————
*1<キーフーズ調査とは?>
キーフーズとは、「地域で入手しやすく手の届き易い価格や条件の食材で構成され、その地域の食を支えているいわば“Key=鍵”となる料理」を指します。食物ベース食生活指針(Food-based Dietary Guidelines)によって提言された概念に則り、キーフーズを抽出することによって地域住民の食事内容を栄養素ベースで考察・不足または過剰に摂取する栄養素を食物ベースで調整するレシピの開発が可能となります。
写真3:市場見学の様子
写真4:市場で売られるたまねぎ
バゲルハット滞在期間中には、人々が食料品を手に入れるために集う市場にも足を運ぶ機会がありました。市場は多くの人で賑わっていて、活気のあるバングラデシュの空気がより濃縮されたような雰囲気でした。
市場では、近隣の川で獲れた魚やエビのほか米や野菜、香辛料など様々な食材が売られていました。沼地や川が多くあるバゲルハットでは魚やエビの種類が多く、市場でも多くの売り場を占めていました。これらを使ったカレーはもちろん絶品です。
今回市場をめぐる中で、新たな発見もありました。それは、同じ野菜でも日本とバングラデシュでは違いがあるということです。
特に衝撃的だったのは、たまねぎの大きさです。日本のスーパーで売られているたまねぎの大きさを想像してみてください。だいたいこぶし大くらいです。しかしここバゲルハットの市場で売られていたたまねぎは、一口サイズのように小さなものでした。この小さなたまねぎはバングラデシュ産のものだそうです。
たまねぎに関しては、もうひとつ認識の違いがありました。それは、「たまねぎはスパイス」ということです。日本では炒め物や煮物に使われるポピュラーな野菜ですが、ここバングラデシュでは、唐辛子やにんにくと同じように香辛料という使い方をするそうです。確かに食堂では、辛さの調整用として置かれた唐辛子とともにバングラ特有の小さなたまねぎもしっかりと存在感を放っていました。
このように、現地へ足を運んだからこそ分かることが多くありました。日本で学んだ知識や技術を生かして取り組む方法も一つですが、先入観を捨て現場での新たな知見を得ることの大切さを学び、かけがえのない経験となりました。
写真5:休憩中の一コマ
リキシャや人々が行き交い、夜遅くまでクラクションが鳴りやまないバングラデシュ。その騒々しさがすでに懐かしく感じます。またいつか訪れることができたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。ドンノバート!!